Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

哲学

1118

物事を抽象化するためには、捨象される部分が一個の対象として"見えて"いなくてはならないということに気付いた。つまり抽象化においては瑣末な情報が落ちているのではなく、それらが(こう言ってよいのかはわからないが)無意識に回収されているのだ。個々…

1015

卒論がなかなか書けないので焦っています。内容自体は大筋で決まっていて、喩え話もたくさん用意してあるのに、なかなか筆が進まない。計画的に少しずつ書いてゆけば良いのだと言葉の上では思うのだけれど、心の底ではこれは「一気に書いてしまう」べきもの…

1014

ランダムネスもまた言葉、観念にすぎないのだ、ということを思う。つまりそれに対応する実体がこの世界にあるわけではないということ。無意味が非意味であるのと同じように、無規則もじっさいは非規則として見出された一つの規則なのだということを考える。…

1013

紙面を線によって分割することを考えよう。言うまでもなくこれは分節化の比喩である。紙面は世界であり線は文法であって、線に囲まれた領域は観念である。さて、ある領域を囲むために引かれた線が、意図せず他の領域をも囲っているということがありうる。こ…

0925

論理定項がこの世界に実在するかという議論において、若きウィトゲンシュタインはラッセルに対し「この部屋にサイがいないことを証明せよ」と食ってかかったという。「否定」のような論理定項が実在するなら、それを見せてみろというわけである。結局ラッセ…

0924

記号とは対象を代替するものではなく、むしろ人間を操縦するための特殊な刺激であると捉えたほうが筋が良い気がする(これも一つの喩えだが)。少なくとも「計算は予測をしないが、君は計算によって予測をすることができる」というウィトゲンシュタインの言…

0917

自分の気持ちというのもまた一つの言語ゲームである。気持ちに実体などない。生活の各場面において気持ちとして扱われる"表現"こそが気持ちの実態なのであって、その背後に本当の気持ちが控えているというわけではないのである。我々が自分自身を観察したと…

0831

メインPCが突然故障したので修理を依頼していたのだけど、今日業者が引き取りに来た。調べたところわりと頻発している不具合らしく、購入前の調査が甘かったなと反省しつつ保証期間内に故障したのは僥倖だったなと思う。ただしばらくメインが使えないのであ…

0827

物理学が現象を高精度で予測できることは、すべては解釈でありゲームであって世界と直接関わるものではないという認識に相反するように思われる。われわれは世界について何か本質的な知識を掴んでいるから、それができるのだと言いたい気持ちになる。とくに…

0811

りんごは実在するだろうか?いいえ、りんごはアトムの寄せ集めにすぎない。ではアトムは実在するだろうか?わからない、というのもアトムが実在するというときの「実在」は結局のところりんごの「実在」と同じ実在であるから。われわれに与えられている実在…

0806

現実をどこまで数学に近づけられるか。条件を厳しくしてゆけば実験は(正しい)数学的モデルに無際限に近づいてゆくという予感をわれわれは持っており、しかし無限に条件を厳しくすることはもちろんできない。ここで「無限に条件を厳しくする」ということは…

0805

「よくわかりません」という祈りの声だけが虚空を満たしている。 計算はそれを実行する基体に依存しないということが、われわれが世界に触れられないことの証明になりはしないか。証明というのは嘘で、いつものことながらこれは喩え話なのだけれども。言葉を…

0801

ヒューム『人性論』を読んだ。「世界について知ることはけっきょく自分の中にあるものを知ることに過ぎないのだ」というこの失望を、はるか昔の哲学者がすでに味わっていたということ。逆説的ではあるけれど、なにか勇気付けられたような気持ちになる。とに…

0729

ある状況においてそのルールが適用されうるかいなかを決定する必然的な規則は存在しない。たとえば法律はそれ自体で人を罰するものではなく、それを適用する仕組みがあってはじめて機能する。そして「ある状況」はつねに恣意的だ。この世界のカテゴリには「…

0718

すべての言葉が詩になる特異点。 砂漠の真ん中で星を見るのが夢です。 「私は見ている」という表現は「彼は見ている」と対比されてはじめて意味を持つ。そうでないならただ「見ている」で良いし、より正確には、それが見えたことによる行動の変化があれば良…

0709

世界に意味を見出すことは、世界にその使用法を見出すことでもある。だから世界の解像度を高めることは、願いと意志の精度を高めることでもある。 「われわれの語は「意味」という表現をもっている。ただそれだけのことがわれわれを誤らせてしまう。われわれ…

0618

Chainer-SegNetを実装してみた。max_pooling_2dのbackward_cpuを参考にして書いたupsamplingがやたら遅かったので、ちょっと頑張って高速化。1桁くらいは速くなったけど、まだやりようはありそう。副残物としてpoolingのbackward_cpuも同じくらい高速化され…

0519

世界を分節化する区画線、これもまた一つの観念に過ぎないのだということをよく考える。言葉はいつもこっち側にあり、いくら手を伸ばしたところであっち側へ届くことはない。脳は脳自身を理解できないし、宇宙は宇宙自身を理解できない。理解というのはいつ…

0513

私というものも一つの相貌にすぎないわけです。 生と死の区分けも畢竟恣意的なものなのであって、それ自体に独立の意味を問えるようなものではないのだ。生の意味を問うことは、われわれが林檎を林檎として分節していることに意味を問うようなものである。 …

0503

思い在り、ゆえに思い在り。 GWは多摩六都科学館というところへプラネタリウムを見にゆきたいと考えていたのですが、生活リズムが完全に崩壊していていまだ行けていません。ということはそれほど行きたい気持ちが強くないということでもあって、それならそれ…

0428

迷いなんてなくて、ただ内観の不足があるだけ。 世界を分節したのは私ではない、私も世界が切り分けられてはじめて現れるものだから。紙面上のインクの染み、それは誰かがそう見ないかぎり「線」ではないけれども、でも誰も見ていなかったところで、誰かがそ…

0412

MBTI性格診断を受けるとたいていINTPという結果になる。それって結局どういう性格を指しているのだろうと調べてみるとこんなサイトを見つけた。読んでみるとINTPは内向的思考(Ti)が優勢で、外向的直観(Ne)が補助になっているとある。「正しいと確信を持…

0411

世界は「感じ」でできている、ということを書いたけれども、それは痛みや赤さが一つの数えられる対象としてこの世界に存在するということを意味していたわけではない。りんごを世界から分節する輪郭線が本質的には存在しないというのと同じ意味で、ある命題…

0409

体調が悪いなあと思いながらぼんやりしていたら一日が終わっていた。ちょっと熱があるみたい。頭が痛い。 本質を否定すること、あらゆる存在者は分節線に区切られた一つの領域であるとみなす立場では、「りんご」という対象と「りんごは美味しい」という言葉…

非想非非想処定

「無」さえも(「有」がそうであるのとまったく同じ意味で)ただの言葉なのだ、ということを心の底から(つまり僕と同じ仕方でという意味である)認識している人たちがどれだけいることだろう、と思う。カテゴリーには本質も現象もなく、いうならばすべては…

迷路を解くロボットの話

迷路を解くロボットの話。そのロボットは、与えられた命令に従って、スタートからはじめゴールを目指す。初期状態ではロボットはなにも知らないから、適当な方向に動いてみたり、じっと佇んでみたり、壁にぶつかってみたりをしながら、やたらめったらに試行…

0320

木漏れ日の影が頁に落とすコントラストをいつまでも眺めていたいと思った。 異常な倦怠感。慢性疲労症候群(CFS)を疑っているのだけれど、診断を受けたわけではないので確証はない。そもそもCFS自体曖昧な概念で、いま現在明確な定義は存在していないという。…

メモ

赤さや痛みといった感覚こそが世界の本質的要素なのだと考えると、さらにその先へ進むためには、赤さと痛みとを本質的に区別するための原理を導入する必要が出てくるように思う、僕はそれを避けたい。赤さと痛みの区別すら、それはわれわれが便宜的に境界づ…

ある晴れた夏の日

木田元「マッハとニーチェ」を読んでいて次のような記述に出会った。マッハが自分の若いころを振り返って書いたものらしい。 ある晴れた夏の日に……突如として、私の自我をもふくめた世界は連関しあった感覚の一集団である、ただ、自我においてはいっそう強く…

0302

言葉はモノである、と前に書いたけれども、この感覚はより一層強くなっている。PかつPならばQであると言われれば、Qであることも認めねばならないような気持ちになるけれど、しかし言葉の上ではどうとでも言えるのだ。ただわれわれがそのような推論を妥当に…