Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

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 今日は理化学研究所の見学に行きました。今学期受講していた脳科学の講義で見学希望者を募っていたので、参加してみることにしたのです。
 理化学研究所和光市駅から15分ほどのところにありました。敷地は結構広くて、しかもたくさんの建物が窮屈に並んでいたため自分のいる位置がどこなのか判然とせず、何度か迷いました。結局少し遅れて、見学者集団に合流。
 本物の純粋な研究機関を見学するのは初めてだったのですが、いかにも学問研究をするための場所って感じがしてカッコ良かったです。憧れるものがある。5人の先生の研究室を覗かせてもらったのですが、それぞれが高度な設備でよくわからない凄いことをやっていました。凄い。そういえば5人のうちの一人が非常に頭の良さそうな女の人だったのですが、その人の立ち振舞が本当にかっこ良くて、僕もこんな雰囲気を纏えるようになりたいなと思いました。なんというのかな、言葉はあれだけども、高性能そうなオーラがあるのだ。
 動物実験をやってるとこなども見学しました。アメリカ人の先生が解説してくれたのですが、案外英語が聞き取れるようになっていて嬉しかった。頭に電極を繋がれたネズミがバケツの中でぐるぐる回っていて、まさに動物実験!という印象。海馬のニューロンの発火を追っているらしいです。ちなみに聞いてみたところ彼は普通のネズミではなく、脳に機能障害を抱えた個体らしいです。自閉症ダウン症等の遺伝子を発言させたネズミで、その神経的な原因を探してゆくのだとか。
 それから、前に講義されていた風間先生の研究室や、魚を使った脳の研究をやってる岡本先生の研究室へ。岡本先生の研究室では、魚の条件付けを説明するために、どのような機能が必要であるかをモデルとして組み上げ、それから実際に脳の一部を損傷させたゼブラフィッシュによってそれを確かめてゆく、ということをやっているようでした。手綱核を損傷したゼブラフィッシュは、負の報酬予測に対しパニックを起こし適切な対処が出来なくなる、など。それから、一度縄張り争いに負けた魚は負け魚根性がついて他の競争相手にも連敗し始めるらしいのですが、手綱核周辺の部位(名前は忘れてしまった)にうまく処置をすると、それを払拭できたり、無根拠な自信に満ち溢れたりするらしいのです。(興味深いことに、自信満々になった彼は実際に縄張り争いに勝つのです。自信って大事なのだな)先生の研究室を見ている時に、ちらっと「不要fish」と書かれた水槽が見えたので、あとで、これらの魚はどこへゆくのですかと質問してみたのですが、答えは「死んでもらいます」とのことでした。つらい。
 そういえばどこの研究室もGFPをバンバン使っていましたね。最近習ったところなので割とタイムリーでした。特にカルシウム濃度によって光度の変化するものは多用されていて、研究者というのは新しい技術が見つかればどんどん利用してゆくのだなと、頭では知っていたのですが、実際にそれを見るのは感慨深い体験でした。無駄な節操など持たないのだ。
 短い時間で、もっと色んな物を見聞きしたかったのですけど、それでも十分に楽しかった。また何か縁があればこういう機関で働いてみたいなあと思うのですが、きっとそんな未来は来ないのだろうなとも思います。僕にはやっぱり彼らのような情熱や能力ない、もっと言ってしまえば、キャラが立っていないのです。僕には物語に関わる資格がないのだ。
 帰り道に、一緒の見学していた学生に声を掛けられて少しお話をしました。脳へのアプローチの方法やら、哲学的な話題やら、こういう無責任な話ができるのは、学生同士の特権ですね。これはこれでなかなか楽しかった。話を聞くと彼は僕の高校の同期の知り合いだったので、またいつか相まみえることがあるかもしれません。縁があったらまた会おう。

 それから池袋へ戻って、バイトへ。今日の内容は、淡々とした勝利とでもいうべきものでした。おもしろくなかったけど、失敗もしなかった。終わってから、喫茶店で二時間ほど勉強して帰宅。試験が近づいています。がんばらにゃーとなあ。