Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

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 「自分だって自分の作品じゃないですかー。」

 コーヒーメーカが届いたおかげでQOLが微妙に上がっています。普通に僕よりコーヒー入れるの上手なのがアレですが、まあ彼のレーゾン・デートルを奪うのはやめといてやろう。

 気分がのらなかったので今日は一日ゴロゴロしようかとも思っていたのですが、昼くらいから持ち直して駒場祭へゆきました。駅の人混みですでに死にたくなったのですけれどとりあえず中へ。この程度の精神的ダメージからは数瞬で復帰する精神を最近の僕は獲得しています。

 何を見て回るかあんまり決めていなかったのでひとまずTwitterで準備中ですとの旨を報告したきり続報のなかったTonicaの展示を見に行ってみることにしました。相変わらず扉に準備中の表示。忙しい最中かなと思って中を見てみるとやっぱり忙しそうだったので後回しにしようと離れかけたところでkkk氏に誘い入れてもらいました。顔覚えてくれてたのね。
 ちょうど人工文豪というマルコフ連鎖によって自動で小説を執筆しそれをリアプロで原稿用紙にマップするという展示を準備している最中でした。えあうさんという方が文章生成の部分と出力の部分をつなぐ作業をされていて、kkk氏はきなこもちチロルを食べながら横にいて、久しぶりにお会いするくおるく先生はよくわからない作業をMBAでカタカタやっていました。他の展示を解説してもらったり、適当な話をしたり、人工文豪についてああだこうだ言ったり、部外者のくせに結構な時間長居してしまったわけですが僕としてはとても楽しかった。えあうさんは初めてお会いしたのだけれど、折り紙も嗜んでらっしゃるらしく、神谷作品のことで盛り上がったり、kkk氏も交えてSF談義に花を咲かせたり。それから、人生とか。くおるく先生が、人のふと白線を踏みたくなる心理なんかを計算資源として使えないかなみたいなことおっしゃっててちょっと面白いなと思いました。それからゴキブリコンピューティングとかね。あと、彼の立ち振舞が以前お会いした時よりだいぶ洗練されていてびっくりしました。人前に立つとことが増えるとそうなるのかしら。また更に優秀になっている気もする。言葉の切れ端からわかる応答の速さと広さ。うーん、敵わないなという感じです。

 人工文豪が一応の完成をみたところでTonicaを後にして、前期教養のドイツ語及びドイツ語の補修でお世話になったk先生が主催してらっしゃる哲学カフェを覗きに行ってみました。とりあえず外から様子を伺う算段だったのだけれど、先生に発見されてしまい僕も参加することに。
 哲学カフェというのはすべての人のための哲学という趣旨でみんなで話し合いをしようという趣旨のイベントで、僕の参加した時間帯のテーマは「愛の終わり」。議論の内容自体はそんなに興味が無いというか、僕が思っていることを説明するのは面倒くさいので、どちらかというとUTCP(駒場で哲学やってる団体で哲学カフェを主催している)の人達(ファシリテータというらしい)の議論の進め方を観察したり、どうしたら盛り上がるか考えて発言してみたりということを稚拙ながら試みていました(無様に失敗しましたが)。こういうイベントにやってくる手合って、まあ僕もたいがいそうなんですが喋りたがりの聞き下手が多いのです。そしてそういう人達の意見をうまく取りまとめて生産性の高い話し合いをするというのは思いの外難しい。とはいえみんなそれぞれの意見、経験を持っていて、うまくまとめると結構興味深いアイディアが出てくる。そう考えると、ファシリテーションというのはなかなかどうして意義のある概念だな、となります。
 なんやかんやで楽しかったです(小学生並みの感想)。そういえば議論のはじまる少し前にサークルの総務氏から連絡をもらっていて、彼ならこういう話し合いはきっと気にいるだろうと思って誘ったのですが、哲学対話という名前で伝えてしまったことで、僕が哲学科にいることと合わせて、専門的な話し合いをする印象を持たせてしまったらしく、断られました。もうちょっと説明する時間があれば良かったのだけれど、その後すぐはじまってしまったからな。残念。
 k先生は毎度のことながらこの後に合コンを手配されていたわけですが、僕は疲れたので帰りました。疲れた。大勢の人と話すと疲弊しますね。こういうの、僕にはやっぱり向いていないのだと思うけれども、しかし学習と技術でもって乗り越えられるであろうこともわかっているし、乗り越えつつあるとも思う。僕は僕の理想とする人格になりたいと思う。

 「知能の心理学」という本を読んでいます。視覚について本郷の図書館で調べている時に、ふと目に留まって借りてきた本です。適当に読み流すつもりだったのですけれど存外に面白くて、本腰を入れて読み進めています。筆者はものすごく賢い人に違いないと思って調べてみるとこのピアジェという人は20世紀最大の心理学者の一人らしい。19歳で大学卒業してて、はあって感じです。この世界には頭の良い人が溢れている。

 賢くなるためにはたぶん、頭が賢い振る舞いをしたときに報酬を与えて、頭の悪い振る舞いをした時に罰を与えるだけで十分で、別段努力とかそういうレベルの話じゃないと思っています。ただ、何が賢い振る舞いで何がそうでないかということを知識として知っておく必要というのはあり、そこをどうやって獲得するかということと、後は自在に自分に報酬を与えることが出来るようなる必要もある。それから、メタ認知的に戦略の有効性を評価する手続きがどのようなものであるかっていうのも大事よね。その辺どうなんだろう。