Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

0707

 「調和」「変革」

 僕はどうも「心を込める」ことが苦手なようなのです。滲んだり漏れたりすることはあっても、込めることはできない。気持ちゆっくり目にキーボードを叩いているとき、僕はそこに浮かび上がる言葉たちに気持ちを乗せているような錯覚に陥るけれど、あとから読み返してみれば、かつて意図したはずの意図たちはちっとも見当たらない。悲しい気持ちで文章を書いているだけで、悲しい気持ちを文章に書いているわけではないのです。

 都会の真ん中にいるはずなのに、じめじめとした夏の夜の空気が漂っている。おかしい。これはほんらい田舎の川辺の草むらとかに漂っているべきものである。自販機の明かりには虫が群がっていて、うだるような熱気に星々が瞬いている。そこには数直線から切り取られた夏があり、止まった時間の中に夜が更けてゆく。