Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

0308

 ここ半年くらいずっと目覚めていたような気がしています。あまりに規則正しく毎日が過ぎてゆくので、意識がその継ぎ目を忘れてしまったみたい。起きたいときに起き、眠りたいときに眠る。人間らしく生きるということはつまりそういうことだと思うのですが、諸々の都合がそれを許してくれません。許してくれない?そんなの知ったことか!ってほんとは言いたいのだけれど。

 「昨日Sちゃんと意識の歯車を交換しました。小さい金色の歯車で、その中に〈私〉が入ってるんだそうです。記憶とか知性とかは脳が蓄えているんだけど、『今ここにある私』という実感を生み出すのはその意識の歯車なんですって。だからこれを書いているわたしは昨日まではSちゃんだったのです。記憶にはないけれど。でも不思議ですね。記憶の中にいる昨日以前のわたしも自分が自分であるという実感を抱いていたのに、それはかつてSちゃんだった今のわたしからすればただの記録に過ぎません。一方で、肉体としてのわたしNには、昨日も今日もずっとNであったという自覚があります。一昨日のNと昨日のNが同じNであったのとまったく同じ意味で。いったいわたしとSちゃんは何を交換したのでしょうね?」