色についての所感。
青。青は暗がりにぼんやり佇んでいるのが綺麗だと思う。黒に限りなく近づきつつしかし決して同化されない異質さに青の真髄がある。
赤。赤は集団・集合の色だ。紅色、朱色、橙、炎の色、血の色、ワインの色、煉瓦色、それぞれ微妙に異なる色々が、溌溂と群れるその統一性の中に赤の概念は現れる。
緑。緑には表情が欠かせない。質感、混色、濃淡、艶やかさにマットさ、反射光と透過光。それらとともにある限り、緑は他のどの色よりも希望に溢れている。だがひとたびそれらを失えば、緑は途端に死臭を漂わせはじめる。
黃。うるさい。
白。本当の黒はあるかもしれないが、本当の白というものは存在しない。白はつねに相対的なものである。それゆえに黒を除くあらゆる色は、白へと至る果てのない道のりの途上にある。
黒。黒には二種類ある。一つは本当の黒であり、認識の不在である。もう一つは、黒を自称するただの器用貧乏である。