Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

例外

 この世界は印刷された物語で、登場人物の僕がいくら暴れてみせたところで、それもまた静謐な明朝体の配列に過ぎず、紙面が破れたりはしない。しかしいつの日か落丁の一つでも作ってやりたいものだと思う。

 このお話から脱出するという考えと比べれば、それ以外のすべてのできごとはモノクロ写真に見えてくる。だがこの考え自体もまたそこに書かれた筋書きに過ぎないと思い直すとき、一切は白黒になり、それ故に世界は色を取り戻す。僕はそうやって生きていく。