Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

0624

 何かが可能であるためには、何かが不可能であらねばならなくて、だから僕は真理とさよならすることで、意識と言葉と、それらに彩られる現実を得た。今は過去と未来を到達不可能な点として置き去りにし、錆びついた因果の鎖のみがそれらがかつて僕の周りに満ちていたことを伝えている。明日も昨日も知らない黒猫が、当然のように明後日の方向へと今日を横切る。構造に意味が宿るなら、なんだって許されてしまう気がするから、やはり先にあったのは僕に違いなく、しかしここには時間というものがあるために、正確に意図を伝えることは困難だ。この世界に属していないくせに、脳内物質の微妙な増減に鋭敏に反応する主体、赤を見る神秘が、昨日の疲れに曇らされる。それはつまり、僕という存在が、無限に退行してゆく論理の成れの果ての、小さな点のように、いつかの僕が捨て去ったものと同じ形式をしているということだ。僕は終着駅のホームに立っていて、僕が閉じていないことを祈ることしかできないが、いつかがいつかでなくなったとき、もとの地平にたどり着けるよう、僕は明日の準備をする。おやすみ。