Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

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 僕のうちの近くの文房具屋さんが火事で全焼してしまったらしいです。小さい頃はよくそこで文房具を買っていました。ノートが94円だったな。なくなってしまったのはとても悲しいです。またひとつ、思い出と現実の対応が切断されてしまった。

 大学に行って、図書館で数理論理学の続きを読みました。やはり本を読むのはとても難しい。僕は説明と説明されているものとの間を埋める方法を全然知らないのです。言葉を咀嚼した上で、考えるべきことを考えることが、文章を理解する唯一の道だと思うのですが、いざ言葉を読み込むとなると、言葉と心的イメージとの対応、いうなれば言葉の手触りが全く感じ取れず、上滑りする文面を前に右往左往することになる。摩擦のない床の上で自分の身体を制御するような困難を感じて、ちっとも前に進むことが出来ない。困ったものです。僕はなにか大切な対応表を持たずに生まれてきてしまったのではないかと思います。だから人の言うことを心から理解できないのではないだろうか、と。

 本を読んでいたら寒気がしてきて、頭も痛かったのでサークルをおやすみして家に帰りました。37.3度、微熱です。最近は割とまともな生活をしているはずなのに、どうしてこうも身体が弱っているのかわかりません。運動もしてるのにな。冬だからかしら。冬といえば、今日は本当に寒い日でした。ある程度寒くても服を着込んでいれば、寒さとして対象化出来るくらいの寒さに抑えられるのですが、今日はそんな余裕はなくて、本当に凍えるかと思いました。人で込み入った電車が救いに感じられてしまうくらいに。
 部誌に載せる退任の挨拶を書きました。これまでは編集者の側として携わってきたのですが、僕のお仕事はもう終わってしまったので、この原稿をまとめて本にするのは僕の後輩になります。一抹の寂しさ。まあすぐ忘れちゃうんだろうけども。
 夜は絵を書いていました。最近宇宙クジラがマイブームなのです。広大な宇宙をゆったりと泳ぐ巨大な宇宙クジラにはロマンがあります。僕は曲面を適切に切り分けて、平面上のパーツによって上手く構成するのが好きなので、そういう意味でも楽しいです。メカニックデザインにおけるパーツの切り出しとかスジ彫りの最適解に憧れるものがあって、僕ももっと上手に機械とか外骨格とか書けるようになりたいと思っています。必要性から切り込むのが良いのか、純粋に見た目から考えたほうが良いのか。もっといろんなものを観察して勉強しなくちゃなりません。ところで、宇宙ダイオウイカとか書き始めた辺りから頭のなかで宇宙が爆発してしまって、宇宙マグロとか宇宙ウミウシとかが空想の大宇宙を駆け巡り始めました。個人的には宇宙マンボウがお気に入りです。宇宙マンボウは宇宙寄生虫を落とすために惑星大気圏でスキップするのですが、ときどきその衝撃で死ぬのです。おかしい。あと宇宙きつねねこうさぎという生き物がいて、これはウサギとねことキツネの耳を全部を持っている超かわいい生命体のはずだったのですが、いつの間にか足の12本ある異形の化け物になってしまいました。どうしてこうなった。
 もっと遊んでいたいのですが、明日も早いので寝ねばなりません。宇宙クジラの夢が見られるといいな。