Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

0214

 言語化するということは、強弱の世界から有無の世界に移るということだ。

 Philosophische Untersuchungen を全文丸暗記してみようと思った。言葉の意味や文法は気にせず、ただの音と文字の並びとしてすべて頭の中に収めてみる。それが終わったとき、僕の目にはドイツ語世界がどのように見えているだろうか。僕の脳は何を理解しているだろうか。少し興味がある。

 かつて切実だった問いは、いつの間にかただの知識へと変わり、やがて記憶から零れ落ちてゆく。いつだって切実さは習慣と倦怠に飲み込まれる。だが切実に問うことを忘れるな。その限りにおいて僕は生きているといえるのだ。