Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

圧縮

無限に大きな紙が不気味だったので
折りたたんで折紙魚にした
冷たく重い水の底
二度あることが三度ある場所

だから一枚の鱗は無限に重なる
超越論的議論の帰結はそう示唆するものの
確かめることはできず
それゆえ知性が立ち上がる
無視された差異の残響
折り出された鰭を意味と呼ぶことにして

深海探査が自己解題に漸近するにせよ
折り手もまた襞の中に見出されるうちは
展開図の恣意性も形而上学を妨げはしない
沈め折りの唇で哲学者はそう語っている
これも紙の予定のうちなのだ
折ることができたということは

どこまでも帰還する魂の論証
対生成された意味と無意味が出会うまで
冷たく重い水の底をぼくらは泳ぎ
捕えた獲物を平らに展ばして
ときにはそこに詩を書き込むのだ