Redundanz

僕の言葉は、人と話をするためにあるんじゃない。

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 この世に生を受けた人間がまずはじめにやらねばならないことは、世界に合わせて自分の形を整えることである。自然法則から服の好みに至るまで、世界は既存の区画線に満ちている。その区画線に、自己の内の区画線を一致させること、それができて初めて、人は世界の中で己の生存を維持できるようになる。しかし、世界と自己のこの関係は、どこかで反転させなければならない。本当の意味で生きることを望むのであれば。所与の区画線の内側で生きている限りでは、あらゆる達成は、それがいかに希少なものであろうと、可能性の空間の中ですでに予定されていたものに過ぎない。それは人をお金持ちにするかもしれないが、独創性ではない。所与の区画線の破壊と再構成こそが、創造という言葉の唯一の意味である。そしてそれは人間の専売特許ではない。むしろ宇宙の発展は創造の歴史であり、そのある時点のスナップショットを、われわれは普遍的秩序と思いなしているだけなのである。このことを確認するためには、人間は発狂することができるという事実を思い起こすだけで十分だろう。さて、この宇宙的営みの中へ、一個の人間として乗り込んでゆくためには、世界を自己へと引き寄せるほかあるまい。自己の概念もまた、所与の区画線に含まれるものであるから、引き寄せる先の自己こそがはじめに刷新されねばならないのは当然の帰結である。したがってそれは、純粋な混沌である。目的地のない船出である。しかしその偶然性は、航海の果てに、そしてひとつの名のもとに、必然化されなければならない。新しい区画線に結晶しなければならない。以下抹消。

 「宣言」を書くことの楽しさというものがある。でも読み返すのは最悪。